いざ。針ノ木岳へ

ようやく梅雨明けを迎えたらしい、夏山シーズン真っ盛りの三連休に、針ノ木岳へ行ってきました。

山登りではいつも感じること。始めの1時間はひたすら苦行扇沢の登山口から1時間ほどの距離は、暑くて、眺めにも変化がなく、面白みに欠ける道のりが続いていました。沢沿いの近道で大沢小屋に到着。


一息ついて30分ほど歩くと、日本三大雪渓に数えられる針ノ木雪渓エリアに。
夏真っ盛り、下界では巡り合えない雪景色。涼しい風景に心躍らされたのは、ほんの数分ではなかったでしょうか。



幻のラピュタ?とも遭遇。


雪景色にも全く感動できなくなるほど、この後延々続く雪渓道中は、(私の足で)約3時間

毎歩、常にアキレス腱が伸びきった状態で、ひたすら急登を進みます。ガスに巻かれた風景には、いつまでたっても変化がなく、どれだけ頑張っても、どれだけ進んでいるのかもわからない道のり。

今日の寝床は針ノ木小屋のテント場。が、このテント場、収容場数が少なく、先着20張り限定なのです。山シーズン真っ盛りのこの時期、混み具合が気にかかります。

結局、私の歩みのノロさに耐え兼ねた寧サンが、先陣を切ってテント予約へ乗り出すことになりました。
私の前を歩く寧サンの後姿は、ガスの中に、徐々に霞んで、消えていきます。

さぁ、どうしよう。前を向いても、後ろを向いても、ガスに巻かれた雪景色には人っ子一人映りません。
こんな景色の中、私が頑張って歩いても、さぼって怠けても、誰にも何にもわからない。
虚勢を張る相手を失うに伴い、やる気も気力も失った私は、歩いては休み、休んでは歩く、を繰り返し、ゆっくりゆっくり進んでいきました。


登りたくて、自ら望んで出向いた山だけれど、未だかつて、こんなにしんどかったことはありません

もう一歩も動ける気がしない、、、と大岩に腰掛けてふて腐れていると、山小屋関係者風の男性が降りてきました。アイゼンもつけない靴で、うまい具合に滑り降りてきます。動こうとしない私に、『疲れちゃいました?』と声をかけてくれました。はい~・・・、と愛想笑いをしながら、小屋までの距離を尋ねると、『足の速い人なら30分くらいかなぁ。歩いていけばいつかは着くよ。止まってたら、いつまで経っても着かないよ。』とのこと。ですよね~、と心の中でつぶやいて再び歩き始めます。

歩いては休んで、休んでは歩いて。

疲れもピークに達した頃、煙って先が見えない前方に、ぼんやりと人影が近づいてきました。
それは針ノ木小屋テントサイトを申し込み、荷物を降ろして引き返してくれた寧サン
助かった。
背中の荷物を引き取ってもらい、身軽になってもなお泣ける急登を15分ほど進み、ようやく針ノ木小屋に到着。
登り始めには、小屋に着いたらテントに荷物を置いて蓮華岳往復しちゃおっかな~と考えていたのが嘘のよう。
そんな力はもう全く残っていませんでした。

さすが三連休、テントサイトは満員御礼。寧サンに先陣きってもらってなかったら、と考えるとゾッとしました。
重い荷物背負って上がって、テントサイトがなくて小屋泊まり、なんて事態は悲しすぎます。
本来2張りのスペースに割り込ませてもらう形で、正真正銘ラスイチのテントサイトに本日の我が家を設置。



お隣りさんは、60歳前後のご夫婦でした。広い前室に敷物を敷いて、景色をつまみにお酒を楽しみながら悠々とくつろぎ、ビデオカメラでお互いを撮りあう姿はとても微笑ましく、歳を重ねてなお、テント担いでここまで来ちゃうんだぁ、と心底感心させられました。
ご夫婦によると、毎年この時期は雪渓エリアにもが流れ、が咲いているのだそう。
一面雪とガスで覆われて変化のない景色を登ってきた私としては、残念のひとこと。
しかし、毎年ここまで登ってるなんて。
山へ行くといつも思うけれど、随分年配の方々が、私なんて足元にも及ばない長~い距離を、長時間歩いてぴんぴんしていることに驚きます。
これから毎年山登りへ出かけて行けば、いつか私もあんな風になれるのかな。
針ノ木雪渓の急登さ加減を知った今、もう二度と針ノ木雪渓は登れない気さえしているけれど。
登山口からの歩行時間はおよそ5時間半。時間的には大したことはないのだけれど、緩むことのない上り坂の激しさには降参でした。
ヤマケイアルペンガイドにて、技術度3、体力度4、と評価されていたことが思い出されました。
確かに。間違いありません。


まだまだ登ってくる人たちを、既に登り切った人々が見下ろすの図。



夕食は牛丼と親子丼
就寝までの時間を、自分で運び上げたワインを飲んでまったり過ごし、シュラフに入った途端、3、2、1のカウントダウンも出来ない速さで眠りに落ちました。

行程//4:40名古屋IC~8:00扇沢~登山口8:45~10:15大沢小屋10:35~14:15針ノ木小屋

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